不動産研究とその概念
不動産とは、動産ではないものとか、土地と建物とか、よく言われますが、不動産そのものを科学的に研究することは、欧米は100年以上の歴史を有し、アジアにおいても韓国や台湾、中国などで近年活発に研究がされ始めています。一方、世界の主要国とされる日本はどうでしょうか?残念ながら、不動産学をはじめ、日本における不動産の研究は、他国と比較して非常に立ち遅れている現状にあります。
日本では、毎年、地価が発表されるように、土地の価格変化についての関心が高いです。これは不動産が経済資産の一つである以上、当然のことであることはいうまでもありません。個人(住宅)、企業(事業用資産)、行政(公有地・税制)、の各主体全てに関わります。
21世紀に入り、日本でも、ようやく「不動産ファイナンス」に関心が高まり、不動産の収益性の観点が定着するようになってきました。
土地の購買欲は、その土地の社会的環境や自然的環境に左右されます。この環境要素には、様々な事柄が含まれます。これまでは、集積性、利便性が特に重視されてきましたが、今後は、都市環境・自然環境、財政力、医療、教育、ITインフラ、地方行政施策などが非常に重要になるでしょう。
すなわち、不動産の収益性の一方で、私たちの「暮らし=環境」という要素が重要となってきています。
私たちの暮らしのステージである地球は、地球温暖化を筆頭とした、これまでで初めてといって良い環境の変化をもたらしています。そのような中、人間の暮らし方自体が問われています。持続可能な社会に適合した暮らし方、スタイルを求め実現することも、これからの不動産が持つ役割となっています。
日本における都市行政と環境行政の現状
都市環境政策(都市環境行政)のあり方については、日本においてはあまり馴染みのない考えといえます。
都市行政と環境行政は別個のものとして行われており、行政法理論においても都市行政と環境行政を融合した理論はあまり見られません。実際社会においても、組織上、環境省と国土交通省が分かれていますし、地方行政も環境関係部署と都市関係部署は分かれていることが一般的です。また、これについて見方を変えれば、都市行政とは、「まちづくり」という言葉があるように「開発」を主眼とし、環境行政は「保全」を主眼としている感があります。「開発」と「保全」は特に前世紀は対立関係でありましたが、人間社会において開発を否定することはできませんし、保全をないがしろにすることもできません。よって、今世紀では、「開発」と「保全」は共存関係にある必要があります。
都市行政と環境行政の融合が必要不可欠と考えます。ここに、都市環境政策(都市環境行政)の概念が存在することになります。
環境行政における環境保全は決定時期が重要な要素となります。事業計画の早期の段階での検討が重要ということです。すなわち、既に開発事業が実施された状況に対して保全コントロールをすることは容易ではありません。一方、開発行政は行政法によるコントロールと市民の総意をバランスよく反映させ、長期間の継続一貫した都市計画が必要となります。
このようなことから、既存の環境法や行政法の理論は、非常に重要な学問研究分野といえます。
私もこの分野の研究を継続しており、環境配慮都市(単なる自然環境保全だけではなく、住生活の質の向上や社会環境の向上も含めたもの)が当たり前にある社会が日本にも到来するように願っています。
本当の価値を見つめることが必要 (私の研究理念)
日本の人口の半分以上は、三大都市圏に定住しています。こう考えると、それ以外の地方には、都市の発展や再生の道が見い出しにくいのでしょうか?私は、そのようには思えません。
三大都市圏の生活の裏には地方の下支えがあります。また、地方には、三大都市圏には無い価値がたくさんあります。それを見つめることが、地方都市再生の鍵といえます。よって、東京スタイルを追随する必要は無く、その地方独自の都市経営をしていくことが必要です。
そのためには、不動産の本当の価値を再度見つめる必要があると思います。
不動産の本当の価値とは何か。そして、21世紀の新しい暮らし方はどうあるべきなのか、をデータを通して伝えること。これが私の最大の研究テーマです。
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